邪教の大神官は二度ノックを鳴らす

ボードゲーム関連ブログ。だいたいレビューと感想。本家ウェブサイトはhttp://tantramachine.com

アドベンチャーゲーム:モノクロームINC.(ネタバレあり)

boardgamegeek.com

bodoge.hoobby.net

1人~4人

90分×3
2019年
システム Matthew Dunstan, Phil Walker-Harding
アート Maximilian Schiller
KOSMOS/グループSNE


 アドベンチャーゲームシリーズの第二弾、3ヶ月くらい寝かせてようやくプレイ出来ました! 4人プレイで全キャラ使用してのプレイだったのでゲーム周りの進行は比較的楽でした。
 なおこのレビューにはネタバレが多々あります。ご了承の上でご覧下さい。

 

 まず最初に、一番大事な事なので書いておきます。

 このゲームはグロ要素があります。苦手な方には決して勧めないで下さい。

 反社会的・反倫理的なテーマを扱っています。

 メンタルヘルスに関する明白に間違った描写があります(後述)。

 以上です。とても大事な事なので何度でも言っていきたい。

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 *ゲーム概要

 このゲームには担当キャラクターが存在しますが、キャラクターの特性が「触っちゃいけない選択肢」で個性付けされてるので(でも正直ちょっとめんどくさい)、何をすれば良いかの指針は割と明確で、さりとて奉行を誘発するほど縛りがきつい訳ではないため自主的に動きやすく親切な作りだなと思いました。ただ、2章後半~3章くらいでやる事がなくなってくると、この縛りが鬱陶しくなってきますね……。ただしこの縛りはそんなにきついものではない、という事は申し上げておきたいです(後半で解除されていくので)。あと、後半の移動が若干面倒臭くて、BGGでエレベーターアクションって言われてたのはまあまあ笑えるw

 一方、アドベンチャーゲーム:ザ・ダンジョンとの比較で言うと「このキャラの特性はこのゲームのこのシナリオのどこに活かせそうか全くわからない」がアドベンチャーゲーム:ザ・ダンジョン以上に発生しているように思いました。ぶっちゃけキャラクター選択の時点で薄々(こいつの能力、この現場のどこで生かすんだ?)ってのがわかると思います。結局最後までわからなかったのは内緒だよ!

 シナリオ的には割と映画オマージュ的な作品なので、あれとかこれとか具体的な元ネタのタイトルが浮かぶ人も多いんじゃないかと思います。明らかなあの映画が直球で出てくるので、映画好きなら笑えるかもしれないです。それがヒントとして何かの役に立つわけではないので元ネタになった作品を挙げる事自体は多分問題ないかとは思いますが、ここでは楽しみを削ぐので伏せる事とします。

 ゲーム的な不具合としては、第三章冒頭の記載が紛らわしく、選択肢としては3つあるのですが、誤読して選択肢を選ぶと即ゲーム終了するという謎の論理バグがあるので、これからプレイされる方はご注意下さい(BGGにも同じ間違いでゲーム即終了になってしまった方のスレッドがありましたので、翻訳のせいではないです……)。第三章の選択肢は完全に並列なので、脱出するとその時点でゲームが終わります。脱出しないのであれば、決してエンディングカードをめくってはいけません。

 翻訳的にはちょくちょく脱字があるのが気になりましたが、これはプレイ感を損なうものではないです。

 なお、リプレイ性がある事を謳っていますが、このシリーズは基本的にスコアタなので、一度やったら二度目、三度目を遊ぶゲームではないです。前回同様マルチエンディングなのですが、途中の動きによって選択の余地があったりなかったりするようです。このシリーズは私割と得意なのかもしれなくて(脱出ゲーム、謎解きは超絶不得意なのですが)作者の意図が割とくみ取れているのか毎回それなりに高得点を叩き出せて良いエンディングを見られているように思います。理論値MAX150で113点ならまあまあでは?(なおQシャでは毎回レストレイドもびっくりレベルの低得点です🥺)

 個人的にこのシナリオは現代的なテーマを扱っている関係で、色々リアリティラインに無理があるところがあるのがもやっとしました。エンディングもそうですが、リアルなテーマを扱う上で、現実の精神疾患に関する間違った知識をゲームで振りまくのはやめて欲しかった。ゲームのネタバレに全く寄与しないのではっきり書きますが、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は突発的に薬の副作用で発症するような精神障害ではないし、似ている症状だという事だとしても、そもそもそんな簡単に診断できるような障害じゃねえよ!

 

*エンディングについて

 めちゃくちゃネタバレなのでクリアしてない人は見ないで下さい。

 

 エンディングはマルチエンドですが、ビルの爆破をするしないで結構変わります。

 ガチでおもしろみがなくなるので決して見ないで下さい。責任取らないよ。

A.ビルを破壊しない 

A-1 クライアントに情報を渡す

A-2 官憲に情報を渡す

A-3 どっちにも渡さずにとんずら

B.ビルを破壊しない 

B-1 クライアントに情報を渡す

B-2 官憲に情報を渡す

B-3 どっちにも渡さずにとんずら

 私たちはビルを破壊した上でとんずらしたのでB-3だったのですが(最初B2がいいかなーと思ってたけどまあそんなに変わらなかったのでよしとする)、ドラマの見過ぎでどっちにせよ握り潰されるか一生お尋ね者かプールに沈められるの3択じゃね、みたいな事を考えてたけど、フィル・ウォーカー・ハーディングがそんなエンディング作るわけありませんでした! これは良い子も遊ぶボードゲームです! (ナチュラルにダンスタン忘れんな)

 ビルを破壊しないエンディングも実はこっそり見たのですが、正直WHOと国境なき医師団赤十字の手による「倫理的に正しい」レインボーとか、さすがに夢見すぎでしょって気持ちでいっぱいになりました。国境なき医師団なんてついこないだセクハラで告発されたばっかだろいい加減にしろ! そもそも出だしからして人体実験で作った薬なんか、国連ロンダリングできるわけねぇだろバーカバーカ!

 このゲームでASPDと国連ロンダリングはどうにも納得できないので、ゲームの体験としてはかなり楽しかったけども、何かこう、後味の良くなさがじわじわダメージとして残るので、ダンジョンの方が好きだったし、ドストレートには人に勧められない感じがあるなぁ。